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REPORT

子どもの貧困 若年性認知症の人の社会的役割

『一日一食で大丈夫』‐おなかが空いたと言えない子達‐

 私たちが運営する認知症専門ディサービスでは、若年性認知症の方が、子ども食堂を運営しています。若年性認知症の方が心を込め作ったパンは、出来立てで絶品です。他にも、ハンバーグのメインディッシュを中心に前菜やデザートなど、心のこもったおもてなしにほっこりします。そんなこども食堂に、以前から気になっていたこどもを誘いご飯を食べにいきました。学校のこと、ともだちのことなど、たわいのない会話をしていると、ごはんは、一日一食で給食のみと言うではないですか。「えっ」と思い聞き返すと「別に一食で大丈夫」と言うのです。家庭でご飯が提供されないことが、当たり前の日常になっていることを知ることになります。こどもが一食で大丈夫と言うことに驚き、そんなことがあるわけないと思いました。

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 この子は、養育が適正におこなわれていないのではないかと、学校の先生から連絡を受けて関わってきた子です。こどもには、一日3食、毎日の食事が必要で、適正で適量の栄養が提供されないということは、身体や脳の成長に影響をあたえ、働く力、学ぶ力、考える力が適正に育つことができず、体力不足や人間関係で行き詰まり、働いて自分の力で生活をしていくことやパートナーと共に子育てをする力が育まれないといったことが起き、将来に渡り不利な状況を作ります。

また、家庭で食事が、適切に提供されないといった状況は、世代を超えて連鎖していきます。朝食が提供されていないこどもの親もこども時代に朝食が提供されていなかったケースが多く、学習支援教室に通う児童の4割に朝食がないというアンケート結果も出ています。

 他にも、保護者の病気や精神疾患から夕食を作ってもらえないこども達にも出会ってきました。食事は、何もないこともあれば、カップラーメンやおにぎりのみのこともあります。私たちは、そういったこども達に、栄養バランスのとれた温かい食事を提供できるようこれからも活動を進めていきます。

スタッフ:古賀和美

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