母子家庭で子どものご飯は用意をしているが、母親は1日1食で栄養不足になっている。
生活困窮者の現状
私たちは生活困窮にある方々への支援活動を行うなかで、「今日食べる物がない」「病院に行けない」「住むところがなくなった」など、生きていく上での根幹を揺るがすような生活の危機、時には人生の危機を目の当たりにしてきました。
私たちが関わってきた
「生活困窮者の現状」に
関する問題
母子家庭で子どものご飯は用意をしているが、母親は1日1食で栄養不足になっている。
健康保険が切れてしまって医療費が全額負担になるため、子どもが熱を出したときに病院に連れて行けない。
がん治療をしないといけない母親が、母子家庭でお金がないため、子どもを優先し、治療ができていない。
4年前から水道がとまり、トイレは近くのスーパーに行っている。夜は我慢している。
ガスと水道が止まっていて、お風呂は1〜2週間に1度くらいしか入れていない。
家賃が払えるお金がなく、車の中で生活しており、住所や連絡先がないため、仕事につけない。
生活保護が1990年代に比べ約2倍となり、現在では200万人を超える人が生活保護を受給しています。困窮状態の方々が増加しています。労働者の3人に1人が非正規雇用で、不安定な就労環境に置かれていることが理由のひとつです。非正規雇用者は、リーマンショック・コロナショック等の経済危機に耐えることが難しく、労働時間の短縮、契約打ち切りにより、減収・失業してしまうことが少なくありません。
経済危機や会社の業績悪化により失業・減収してしまうと、「十分な食事を摂ることができない」「住まいがない」「生活必需品を揃えることができない」「十分な医療を受けることができない」などといった危機的状況に直面してしまいます。
十分な食事を摂ることができない
住まいがない
生活必需品がない
医療が受けられない
この状況は、安定した生活費を確保できない問題によって起こっています。
就職活動ができない
スーツ、革靴、交通費、携帯電話等、就活に必要な経費が用意できない
正社員等条件の良い職場で
働くことができない
母子家庭のため子どもが急に熱を出した時に休める等子育てと両立できる正社員の仕事が少ない
収入に見合った
お金の使い方ができない
生活費よりも借金の返済にまわってしまう
CASE
生活困窮世帯の事例
病気と子育てに奔走する母子家庭の母親Aさん
「夫は育児放棄をし、子どもと顔を合わせることなく、家に帰ってこず飲み歩いていました。酒を飲んで帰ってきた時の夫は手がつけられず、暴力を振るわれることも少なくありませんでした。夫からの暴力から逃げないと、子どもも自分自身も危ない状態でした。しかし、家を出ていき、夫と別れる決心がつきませんでした。小学校低学年の子どもを抱えて、子どもとふたりで生活できるとは思えず、実家に頼ることもしたくなかった。」
当時のことをAさんはこのように振り返ります。Aさん自身も実父からネグレクト、身体的な虐待を受けてきたため、実家に戻る選択肢はありませんでした。結果として、離婚が成立し小学生のお子さんと一緒に暮らしています。離婚後は、母子手当とパート就労で生計を立てていました。養育費については一切支払われていません。「離婚時には毎月3万円と約束をしていましたが、支払いはありません。養育費を払わない父親が8割と聞いていましたが、まさか本当に払わないなんて・・・」公的な手当とわずかばかりのパート収入で生計をたてているのです。子どもと二人での生活も軌道に乗った矢先、職場での人間関係のトラブルから、精神的に落ち込むことが多くなります。実父や元夫からの暴力がフラッシュバックし、仕事に行くことができず、退職となってしまいました。雇用保険を支払っておらず、会社の健康保険にも加入していなかったため、失業給付や傷病手当を受給できず、わずかばかりの貯金を切り崩しながら、母子手当約5万円のみで生活をしています。「子どもの食事は3食用意するけど、私は1食のみで我慢をしている。学校で必要な学用品や修学旅行の積立金をどうやって払えばいいかわからない。高校や大学に向けて教育費の積み立てをする余裕もない、この子をきちんとした大人にしてあげられるか不安です」Aさんはうつむき加減に話しました。
IMPACT
生活困窮世帯への
私たちの取り組み
生活困窮者の安定した衣食住の実現
生活困窮世帯では、非正規雇用や失業等により安定した収入が得られなかったり、障害や国籍による差別により、必要最低限の生活を営むことができない人も少なくありません。
そのため、私たちは「生活困窮者の安定した衣食住の実現」という目標(インパクトゴール)を掲げて、優先して解決すべき問題であるという認識のもと、活動しています。
そして解決を図るため、「食事」「住まい」「生活必需品」「医療」「収入」の5つの視点に焦点をあて、社会問題に対する対処療法にとどまらず、根本治療や予防となる活動も行い、生活困窮者を減少させ、社会的インパクト(成果)に繋げることができる活動も行っていきます。
栄養のある食事が取れる世帯を増やす活動
子ども食堂事業
食事代のない生活困窮者・技能実習生等が毎日の食事を確保するための活動
食料配布事業
保証人がいなくても賃貸物件を借りることができるようになる活動
住まいサポート事業・身元保証人確保事業を利用した保証人支援事業・生活福祉資金貸付事業
失業・収入減少しても家賃が払えるようにしていく活動
住まいサポート事業・生活福祉資金貸付事業・住居確保給付金
年齢・障害・国籍を理由に入居拒否をされる人を減少させる活動
住まいサポート事業
生活必需品を用意できるようになる活動
生活必需品給付活動・生活費等現物給付活動支援(安心セーフティネット事業)・生活福祉資金貸付事業・衣類・家電リサイクル給付活動・家計支援事業
国民健康保険の滞納者を減らす活動
家計支援事業(生活困窮者自立支援法)・日常生活自立支援事業(あんしんサポートネット)
健康保険や所持金がなくても医療が受けられるようになる支援活動
生活費現物給付活動支援(安心セーフティネット事業)・生活福祉資金貸付事業・家計支援事業(生活困窮者自立支援法)・社会保険等手続支援活動
就活活動に必要な物が用意できるようになる活動
生活困窮者等就労支援活動・生活費現物給付活動支援(安心セーフティネット事業)・生活福祉資金貸付事業
就職活動を行うひきこもり経験者支援活動
ひきこもり社会復帰活動
就職活動を行う母子世帯支援活動
生活困窮者等就労支援活動・ひとり親家庭就業支援
仕事に必要な資格やスキル習得を支援する活動
看護師資格取得応援事業・埼玉県介護職員雇用促進事業・職業訓練・生活福祉資金貸付事業
正社員採用で働き、収入が増える困窮者を増加させる活動
学習支援・生活困窮者等就活支援事業
収支のバランスを考えてお金を使えるようになる人を増加させる活動
家計支援事業(生活困窮者自立支援法)・お金の教室事業
子育てや介護を両立できる社会を実現するための活動
子育てや介護両立宣言企業普及活動・子育てや介護両立宣言企業への就職マッチング活動
働く先を見つけることのできる外国人を増やす活動
外国人就職支援活動・外国人職業相談・在留資格変更支援活動・日本語教室(大人向け・子ども向け)
ACTIVITY
生活困窮世帯の問題を解決するための活動一覧
就職活動を行うひきこもり経験者支援活動
ひきこもり社会復帰活動
ひきこもり状態の方の社会復帰を目指し、就労するための準備、就職活動支援を行います。
就職活動を行う母子世帯支援活動
生活困窮者等就労支援活動
失業、減収等で充分な収入が得られていない方を対象に就職活動の支援を行います。
仕事に必要な資格やスキル習得を支援する活動
看護師資格取得応援事業
看護師学校の学費を負担し、資格取得後の就職支援も行います。
生活福祉資金貸付事業
専門学校・大学への進学、資格取得のために必要な費用を低利息で貸付します。
埼玉県介護職員雇用促進事業
介護初任者研修の資格取得及び実習費用を埼玉県が負担し、研修期間中の収入保証も行います。
正社員で働き、収入が増える困窮者を増加させる活動
学習支援事業
中卒で就職するのではなく、高校卒業ができるよう毎週勉強会(食事付き)を開催して、学校の予習復習や受験勉強指導を行い進学サポートを行います。
生活困窮者等就活支援事業
失業、減収等で充分な収入が得られていない方を対象に就職活動の支援を行います。また、スーツや革靴など就職活動に必要な備品が用意できていない場合は用意できるよう支援を行います。
子育てや介護を両立できる社会を実現するための活動
子育て・
介護両立宣言企業普及活動
子育てや介護を行いながら仕事をしている方々を支える企業を増やしていきます。
子育て・介護両立宣言企業への
就職マッチング活動
子育てや介護を行いながら仕事を継続を希望している方と子育て・介護両立宣言企業とのマッチングを行います。
働く先を見つけることのできる外国人を増やす活動
外国人就職支援活動
失業、減収等で充分な収入が得られていない方を対象に就職活動の支援を行います。
外国人職業相談
外国語での対応が可能なハローワークと連携しながら、職業相談の対応を行っていきます。
収支のバランスを考えてお金を使えるようになる人を増加させる活動
家計支援事業
(生活困窮者自立支援法)
家計について不安がある方からの相談に応じ、家計の状況を明らかにするなかで、相談者の家計管理能力の向上を図ります。また、多重債務や公共料金の改善を行っていきます。
お金の教室
ライフスタイルや年齢、収入に合わせた適切なお金の使い方や貯め方を提案するセミナーを実施していく予定です。