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ISSUE 01

世の中には『当たり前にある生活』が送れていない
子どもたちがいます

現在、日本では7人に1人の子どもが貧困(相対的貧困)の状況であり、
ひとり親世帯の相対的貧困率は48.1%と2世帯に約1世帯が貧困の状況にあります。
このような生活困窮世帯の子どもたちは、ご飯が十分に食べられない、服が十分にない、高校進学を諦めないといけないなど、一般の家庭の子どもたちに当たり前にある生活と同等の生活が送れていない状況があります。

  • 「相対的貧困」とは、その国の文化水準や生活水準と比較して、大多数よりも困窮した状態のことを指します。
ひとり親世帯の相対的貧困率
ひとり親世代の相対的貧困率
  • 「相対的貧困」とは、その国の文化水準や生活水準と比較して、大多数よりも困窮した状態のことを指します。

私たちが関わってきた
生活困窮世帯の
子どもたちの状況

  • 01

    家のガスが止まっていて、月1~2回しかお風呂に入っていない。

  • 02

    進学したくても家計の負担を考えて中学生が高校進学を諦めている。

  • 03

    カップラーメンのみの生活など、栄養の偏った生活により成長や精神に影響が出ている。

  • 04

    国民健康保険に入っていないため、医療費が全額かかることになり、支払えないため、高熱が出ても病院に連れて行ってもらえない。

  • 05

    学校の視力検査で治療指示が出ていてもメガネが買えずに、黒板が見えず授業についていけない。

  • 06

    コンパス・分度器セット、習字道具、水着などが買えず、授業に参加できない。25㎝の足に3㎝小さい上履きをかかとを踏んで履き続けている。

DATA
母子世帯の約半数生活保護基準以下の生活

子どもたちにこのような状況が起こっている家庭では、生活保護基準以下の生活をしているということも多くあります。なぜ、生活保護基準以下の生活で暮らしているのか、不思議に思われるかもしれませんが、生活保護の対象となる人の中で実際に支援を受けている割合(捕捉率)は15.3%~32.1%(H19国民基礎調査)となっており、地域性や仕事、家庭の事情などによって受給が必要な人の約2〜3割程度しか制度による支援を受けることができていません。さらに、母子世帯においては、2世帯に1世帯と約半分の家庭が生活保護基準以下の生活をしている状況もあり、お腹いっぱい食べられる「食事」、進学や塾などの「教育の機会」、お風呂に入ることなどの「生活習慣」、部活や修学旅行等の「社会体験」、文房具やメガネ、自転車などの「生活必需品」など、一般の家庭の子どもたちにある「当たり前」がないことが当たり前になっていることも多く発生しています。

生活困窮世帯の子どもたちは、周りの友達の環境と自身の違いを目の当たりにし続けます。それにより、自分自身でも気が付かない心の傷をたくさん抱え、自分の存在に価値も持てなくなって、自己肯定感も低下し、自分の人生を大切にしなくなってしまいます。また、十分な栄養が取れず、部活やスポーツ少年団などでの運動もできないことで、脳や体の発達にも格差が生まれるほか、十分な教育環境が得られないことも重なって学力の格差も大きくなります。生まれ育った環境の違いによる大きな格差は、成長、学力、性格形成などにも多大な影響を与え、生活困窮世帯で育った子どもたちが大人になってまた生活困窮世帯になるという「貧困の連鎖」にも繋がっています。

生活保護の対象となる人における
受給者の割合(捕捉率)
ひとり親世代の相対的貧困率

生活困窮世帯の子どもたちに
不足しているもの

  • 満足な食事の不足

    • 3食食べていない
    • 栄養が少ない食事
    • ひとりの食事
  • 進学の自由の不足

    • 高校進学を諦める
    • 大学の選択肢がない
    • 塾に通えない 等
  • 生活習慣の不足

    • お風呂に入れない
    • 料理が作れない
    • 掃除の経験がない
  • 社会体験の不足

    • 部活を選べない
    • 部活道具が買えない
    • 修学旅行を諦める
  • 生活必需品の不足

    • メガネが買えない
    • 自転車がない
    • 服や靴がボロボロ

これらの不足は身近にある問題です。

  • お金がない
    という理由で食糧が買えなかった
    経験がある

    保護者60%以上

  • 全世帯の大学進学率
    73.0%に対して

    生活保護世帯
    35.3%

    ひとり親世帯
    58.5%

  • お金がない
    という理由で衣服が買えなかった
    経験がある

    保護者60%以上

このような不足が原因で様々な社会問題が生じています

  • 貧困の連鎖

    生活保護世帯で育った子どもの4人に1人、生活保護の母子世帯で育った子どもの2人に1人は大人になって生活保護を受けています。

  • 身体と脳の成長不足

    成長期に十分な栄養や運動ができなかったことで、身体や脳が十分に成長できない状況が発生します。

  • 教育機会格差

    世帯収入と子どもの学力は比例関係にあり、低所得の世帯の子どもほど、学力が低いという調査結果が出ています。

  • 自己肯定感低下

    自分のことを「みんなよりも劣っている」と感じていて、自己肯定感の低い子どもが多くいます。

CASE
子どもの孤立事例

修学旅行を諦めようとしたAちゃん

中学生のAちゃんの家は、母子家庭でお母さんと妹の3人暮らしで、お母さんは一人で頑張り過ぎて体を壊し、うつ病を患い、働くことや家事もできない状態で生活保護を受けています。
食事作りや妹の面倒は、この家庭ではAちゃんの仕事です。
Aちゃんの修学旅行が近づいてきていたあるとき、「Aちゃんが、修学旅行に行かないといっている。」という話が本会のスタッフに届きました。
本人は友達関係がうまくいっていないからと話していたようですが、本当は家庭の金銭的な理由から修学旅行に必要なカバンや着替えなどを購入したり、自由行動等のためのお小遣いを用意することができなかったからのようです。生活保護世帯は修学旅行の旅費の支援はありますが、このような細かいものについての支援はないのです。
修学旅行の3日前だったこともあり、すぐにスタッフからAちゃんに、「修学旅行に行かないと聞きました。必要な物やお小遣いは、こちらで用意をするから、修学旅行に行かない?夕方に迎えに行くから、一緒に買い物に行こう。」と連絡を入れました。「ありがとうございます。よろしくお願いします。」とAちゃんから返信があり、その日のうちに必要なものを一緒に揃えることができました。
前日には、「修学旅行ワクワクする!!」と連絡があり、とても喜んで楽しみにしている様子も伺え、その後、無事、修学旅行に行ってもらうことができました。学校の先生からも「すごく嬉しそうに修学旅行を楽しんでいました。ちゃんと思い出を作らせることができてよかった。ありがとうございました。」というご連絡をいただき、スタッフ一同も安心いたしました。

子どもの孤立
  • 個人情報保護のため一部内容を加工しています。
  • 個人情報保護のため一部内容を加工しています。

IMPACT
生活困窮世帯の子どもたちのための
私たちの取り組み

どのような環境に生まれ育っても、全ての子どもが、食事や教育機会、生活必需品、愛情・承認・所属の充足など、育つために当たり前にあるべき環境が得られる社会の実現

一般の子どもたちの生活では「当たり前にある大切なものが不足している」状況である生活困窮世帯の子どもたちの現状を踏まえ、本会では、「どのような環境に生まれ育っても、全ての子どもが、食事や教育機会、生活必需品、愛情・承認・所属の充足など、育つために当たり前にあるべき環境が得られる社会の実現」という目標を掲げて活動しています。そして、最も大きな「不足」が集中している「食事」「進学」「生活習慣」「社会性」「生活必需品」「愛情・承認・所属」「世帯(親)の生活力」の7つの視点に焦点を当て、社会問題に対する対処療法に留まらず、根本治療や予防となる活動も行い、貧困の連鎖を断ち切り、社会的インパクト(成果)に繋げることができる活動を行います。

  • 生活困窮世帯の
    子どもたちの問題
  • 栄養のある満足な
    食事ができない
  • 進学の自由がない
  • 基本的な生活習慣が
    身に付いていない
  • 基本的な社会性が
    身に付いていない
  • 生活必需品がない
  • 愛・承認・所属の
    充足が得られない
  • 世帯(親)の生活力
    が不足している
  • 三芳町社協の取り組み
  • 満足な食事が得られるための活動

    子ども食堂・フードパントリー・朝ごはん支援等

  • 進学の選択の自由を作る活動

    無料学習塾・夏冬春期講習・進学説明会・受験費支援等

  • 基本的な生活習慣を身につけるための活動

    子ども入浴支援・子ども料理教室等

  • 基本的な社会性を身につけるための活動

    社会体験教室・修学旅行参加支援・部活参加支援等

  • 必要な生活必需品の給付活動

    生活品支援等

  • 愛情・承認・所属の充足支援活動

    居場所充足支援・ボランティア活動参加支援等

  • 世帯(親)の生活力向上支援活動

    就職支援・家計支援・ピアカウンセリング促進支援事業等

特に、子ども貧困対策の活動においては、食事の提供や学校で使う物、生活必需品の給付など、子どもたちの個人個人の生活に寄り添った柔軟な支援活動や給付が必要となるほか、新型コロナウイルスの拡大など、緊急時には即時に緊急支援活動の立ち上げが必要となります。しかし、行政においては、個人的なニーズに対する支援や給付を行うこと、数日(時には数時間以内)のうちに新たな支援活動を立ち上げたり、既存事業を改善して新しいニーズに対応することなどは、その特性上、公的財源で対応したくても困難であるのが現状です。しかし、私たちは自らの決定で必要な支援を迅速に届けるために、あえて自由度の高い「寄付金」を活用して子どもの貧困対策を行うことで、公的な事業では手を差し伸べることができない困難にも支援を届けることができています。

私たちが子どもたちに給付してきたもの一覧

食事 子ども食堂の食事やお弁当、朝ごはん、食費等
学校 体操着、運動靴、上履き、書初めのお道具、楽器、定期、部活のユニフォームや道具、PTA会費、生徒会費、教科書代、北辰テスト等の模擬試験、みんなで作るTシャツ、修学旅行で使うカバン・着替え・歯磨き粉・歯ブラシ・お小遣い、学校の入学金・学費 等
無料学習塾 テキスト・問題集、文房具 等
生活必需品 メガネ、自転車、服、靴 等
医療 医療費(健康保険に加入していない世帯の子どもの医療費)、マスク 等

私たちがコロナ禍で子どもたちのために緊急支援として即時に立ち上げた活動

食事 子ども食堂でのお弁当配布・配達活動、学校での朝ごはん配布支援活動
学校 休校による学力格差対策としての夏期講習・冬期講習・春期講習活動
オンライン学習塾、送迎支援活動
衛生 子どもたちへのマスク提供活動、生理用品給付活動

ACTIVITY
生活困窮世帯の子どもたちのための活動一覧

  • 満足な食事が得られるための活動

    • 子ども食堂

      毎日町内で子ども食堂が開催されるようにして、食事に困る子どもをなくします。また、新型コロナウイルスが拡大している時には、お弁当の配布や配達も行います。

    • 朝ごはんプロジェクト

      毎週水曜日・金曜日に、朝食がない世帯の子どもたちに2日分の朝食を配布します。

  • 進学の選択の自由を作るための活動

    • 無料学習支援活動

      毎週勉強会(食事付き)を開催して、学校の予習復習や受験勉強、進学・奨学金説明会等の進学サポートを行います。また、長期のお休みには夏期・冬期・春期講習活動などを行うほか、新型コロナウイルスが拡大している時には、オンライン学習塾の開催も行います。

    • 小中学校連携見守り活動

      学校と連携を取ることで、制度やサービスから見逃される子どもをなくします。

    • 進学支援給付

      生活困窮世帯の子どもに対して、高校進学共通試験(学力テスト)、模擬試験、入学金、学費、定期、文房具等の進学や学校生活のために必要なものの給付を行います。

    • 送迎支援活動

      塾、不登校教室、学校等へ通うための送迎支援を行います。

  • 基本的な生活習慣を身につけるための活動

    • 生活習慣支援事業

      子どもの居場所を週3日開所して、入浴をして体をきれいにして、洗濯された服を着て、歯磨きをするなど、基本的な生活習慣を身につける体験をします。

    • 通学サポート

      送迎ボランティアが自宅まで迎えに行き、不登校児等が学校に通う習慣をつけていきます。また、保護者が送迎できない世帯に限り、自力登校が認められていない適応指導教室(学校外にある不登校児のための施設)や特別支援学級の小学生の子どもなどの送迎も行います。

    • 子ども料理教室

      料理教室を開催して、子どもたちが作れる料理を学び、仕事などで親の帰りが遅い家庭などでも栄養価のある食事を自力で作るができるようにします。

  • 基本的な社会性を身につけるための活動

    • 社会体験事業

      長期休業期間のキャンプ、各種ボランティア活動への参加支援などを行い、様々な社会体験や人との繋がりを通じて、社会性を身につけていきます。

    • 部活支援給付

      生活困窮世帯の子どもに対して、部活のユニフォームや必要なものを購入し、金銭的な理由で部活動を諦める子どもをなくします。

    • 修学旅行参加支援給付

      生活困窮世帯の子どもに対して、修学旅行への参加に必要なかばん、着替え、お小遣い、旅費などを支援し、金銭的な理由で修学旅行への参加を諦める子どもをなくします。

  • 必要な生活必需品の給付活動

    • 生活必需品給付

      生活困窮世帯の子どもに対して、眼鏡、自転車、服、靴など、生活必需品で子どもたちが持っていないものを給付します。

  • 愛情、承認、所属の充足支援活動

    • 子どもの居場所充足事業

      放課後などの時間を子どもが安心して過ごす場所を作ります。

    • ボランティア活動参加支援

      ボランティア活動を紹介し、子どもたちが自らを認めてもらえる経験を促します。

  • 世帯(親)の生活力向上支援活動

    • 保護者の就職支援

      就職相談や職業訓練の斡旋、ハローワーク同行などによる就職支援を行い、子育てをしながら働くことができるようにします。

    • 保護者の家計支援

      家計相談を受けて、家庭でのお金の管理ができるようにします。また、心の病や障害、病気などがあって、金銭管理が困難な方に関しては、金銭管理の代行支援なども行います。

    • ピアカウンセリング促進事業

      ひとり親世帯の交流や情報交換ができる場を作り、同じ悩みを抱えた保護者同士の輪を広げ、相談し合える仲間作りができるようにします。

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