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REPORT

生活困窮世帯

孤独・孤立のない社会の実現に向けて

深刻化する孤独・孤立の問題

近年、日本だけでなく世界各国で「孤独・孤立の問題」が社会課題となっており、日本では41日に孤独孤立対策推進法が施行されました。施行を前に行った調査によると、孤独感を感じている人の割合は、60歳以上の高齢者よりも2059歳の働き世代で大きく、世帯の年間収入別では「世帯年収が100万円未満」、経済的な暮らし向き別では「暮らしが大変苦しい」と答えた層で大きく、経済的豊かさが孤独感と相関関係にあることがわかっています(内閣官房「人々のつながりに関する基礎調査」令和4年度)。実際に相談支援の現場でも、電気やガスが止まったり、生活費が底をつくなど逼迫した状況に追い込まれた方にお話を伺うと、社会的に孤立しているために相談する相手がおらず、より一層深刻な状況に陥ってしまったというケースが少なくありません。

 

私たちが取り組む、孤独・孤立対策

こうした「孤独・孤立の問題」に対し、三芳町社会福祉協議会では約10年前より『アッとホーム』というサロンを開催しています。家族や地域とのつながりがない、あるいはあまり持てていないという方を対象に、月に一度手作り料理を提供し、参加者やスタッフと交流することで孤独・孤立の防止につなげています。毎回料理ができる数時間も前から会場にやってくるAさんは私たちによく「人と話をしながら食事をするのはここだけだよ。」と話します。Aさんにとって『アッとホーム』が大切な居場所となっていることが実感できる言葉です。

『アットホーム』を支えているのは、参加者と同じ三芳町に住むボランティアの皆さんです。月に一度、ミーティングを開き、今月はどんなメニューを提供するかを相談します。その際、「Bさんが、今度はお魚が食べたいって。」「Cさんは、玉ねぎが苦手みたい。」など参加者の情報を共有しながらアイデアを出し合います。また、メニューを決める際は、ひな祭りやクリスマスなど季節ごとのイベントや旬の食材の使用など、参加者の皆さんに季節感を感じていただくことも大切にしています。普段はスーパーやコンビニで購入したお弁当や総菜を食べることが多いと言う参加者の皆さんに、手作り料理をお腹いっぱい食べて喜んでもらいたいというスタッフの想いが込められています。

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■土用の丑の日にちなんだウナギが食卓に並び、大好評でした

取り残される人が出ないようあらゆる手立てを

『アッとホーム』の参加者は、30代前半から70代後半までと年齢層が幅広く、ほとんどの方がおひとり暮らしをしています。生活保護を受給している方も多く、慢性的な持病を抱えている方も少なくありません。そのため、開催時には参加者の健康状態を確認し、生活状況等に変化はないか見逃さないように気をつけています。また、ちょっとした困りごとでも安心して相談していただけるよう、話しやすい雰囲気づくりを心がけ、問題が深刻化する前に早期に対処できるよう努めています。

孤独・孤立する人を減らす取り組みは、誰もが安心して暮らせる社会づくりにつながります。取り残される人が出ないよう、今後も関係機関等への情報提供を積極的に行い、相談支援の現場でも絶えず「孤独・孤立の問題」が隠れていないか、注意深く観察していきたいと考えています。

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■料理人だった参加者が中心となって手打ちうどん作りに挑戦しました

齋藤 拓朗

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