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REPORT

生活困窮世帯 高齢者の孤独・孤立 人生最期・死後問題

増加する高齢期のおひとりさま

 身寄りがなく、未婚や離婚をきっかけに「おひとりさま」となる高齢の方が年々増加しています。親族と長い間疎遠であったり、近所付き合いも疎遠で、いざという時に頼ることができない方が多くいらっしゃいます。

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医療や介護に保証人が求められる現状

 おひとりさま高齢者は医療・介護が必要になったときに大きな壁に直面します。病気や介護で入院や入所が必要になると、保証人を求められることがありますが、保証人を用意できず適切な医療や介護を諦めてしまう方もいます。

国の通知によると、保証人がいないことの理由のみで入院・入所を拒まれることはないのですが、実際には病院や施設の9割以上が身元保証人を求めていて身元保証人がいないと入院や入所することが制限されている現実があることが明らかになっています。(高齢者の身元保証に関する調査 20223月 総務省)

 病院や施設が保証人を求める背景としては、意思疎通が取れず預貯金があっても費用の支払いが困難になる場合や入院・入所中に必要な物品を用意することができない場合、死亡時の遺品やご遺体の引取りなど死亡時の対応に苦慮することが理由となっています。その他にも緊急連絡先を求められたり、退所後の支援や医療行為への同意などで保証人を求めることもあります。私たちは声を上げづらい相談者の方に代わり、病院や不動産会社に交渉し入院や住居が確保できるように支援してきました。

孤独死の増加

 おひとりさま高齢者の死後の手続きについても課題があります。孤立孤独状態の高齢者数の増加に伴い引き取り手のいない無縁仏が増加し続けているのです。

 政令市や東京23区など主要自治体(69市区)では、死後に引き取り手がない「無縁遺体」の取り扱い人数が2018年度の計8800人から右肩上がりに増え続け、2022年度は計1万1602人に達し、18年度比で32%増えていた。(読売新聞オンライン 2024年6月3日)

 孤独死で身元がわからない、または身元がはっきりしていても引き取り手がない「無縁遺体」は、死亡地の市区町村が、墓地埋葬法や行旅病人及行旅死亡人取扱法(※1)と法、生活保護法に基づき、火葬・埋葬することになりますが、生前のご本人の希望や意思が叶えられることは難しい状況です。ご自身で葬儀の手配や身元保証会社との契約などを行っていても、それらの情報を周囲の人々に前もって共有されていないと、せっかく備えていたことが実行されないという問題も起きます。従来であれば、同居の家族が把握していれば、本人の希望にもとづいて実行することが可能でした。しかし、「おひとりさま高齢者」においては、自分の死後を見据えた準備を行いながら、自身の意思や希望を周囲の人にどのように伝えてくかが課題となります。

私たちは、エンディングノートの作成・配布を行い終活セミナーを開催しながら、高齢期の孤独孤立や終活に関わるお困り事や相談事を日々伺っています。高齢期の不安やお困り事があれば私たち社会福祉協議会までご相談ください。

スタッフ 小林友

※1身元不明の遺体や引き取り手のいない遺体に関する法律

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